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前回のコラムでは「ライブコマースの定義」についての考えを紹介しました。今回は「ライブコマースを成功させるための考え方」をお話しします。ぜひご覧ください。
- ライブコマースの定義
- ライブコマースを成功させるための考え方
- コマーサーという考え方、あり方
- ライブコマースのフレームワーク
INDEX
ライブコマースを始める前にすべきこと・考えるべきこと2つ

ライブコマースをいきなり始めても、視聴者からの反応がよくなかったり、購入につなげられなかったりすると一般的に言われています。
より良い結果のために、始める前にすべきこと・考えるべきことがあります。
- 実際にライブコマースを体験してみる
- 自社のプロダクトに愛を持って語れるか
実際にライブコマースを体験してみる
ライブ配信の雰囲気や温度感、ライブならではの良さは、自分自身がライブコマースを体験したことがないとよくわかりません。
ライブコマースを始めるにあたりライブコマース未体験では、その良さを引き出すことは難しいでしょう。その結果「成果が出ない」「商品が売れない」と悩む企業がとても多いです。
まずは実際に体験してみましょう。体験することで視聴者が商品を購入したいと思うタイミングや、コマーサーに求める姿勢や受け答えなどをイメージしやすくなります。
視聴者の立場になって、できる限りライブコマースに参加することが重要です。
▼ライブコマースを体験するときの例
- 視聴するだけではなく、感想や質問をコメントする
- 実際に商品を購入する
ライブコマースを探す際は、Instagramで「#ライブコマース」とキーワード検索することで告知情報などの投稿をみつけられます。ライブコマースを実施するにあたり必要な3つの視点があります。
▼ライブコマースで考えるべき3つの視点
- 視聴者視点:どのような配信であれば視聴者は楽しめるか
- コマーサー視点:どのように振る舞えば視聴者を楽しませられるか
- マーケター視点:どうすることでライブコマースに集客できるか
実際にライブコマースを体験し視聴者視点を考えることから始めて、慣れてきたらそれぞれの視点に分けて分析しましょう。より自社に適したライブコマースの進め方は、自身の体験からみえてきます。自身がライブコマースの体験をしていることで、より自社に適したライブコマースの進め方がみえてきます。
自社のプロダクトに愛を持って語れるか
自社のプロダクトに「どれくらいの愛情を持っているか」も重要です。自社商品への熱量が高いほど説明にも力が入るので、「メーカーの人たちがこれほど好きなのであれば、よい商品に違いない」と視聴者に感じてもらいやすくなります。その結果、商品の売上向上につながります。
たとえば、このような人をライブコマースに起用することをおすすめします。
▼ライブコマースにおすすめの人の例
- プライベートでも自社の商品を愛用している人
- 商品の強みや弱みも含めて、使用する価値を語れる人
「自社の商品が大好きで、こぼれ落ちるくらいの愛を持っている」と視聴者に伝わることで心に響きやすく、それがリアリティを生み商品の購入につながっていきます。
ライブコマースを配信する前の心構え2つ

いよいよライブコマースを始める段階になりました。しかしライブコマースを実施したからといって、すぐに商品が売れて売上が向上するわけではありません。ライブコマースを配信する前に、2つの心構えを持っておきましょう。
- 1回の配信で成果を求めようとしない
- 視聴者にとって楽しい時間の提供を意識する
基本的に1回の配信で成果を求めたりせず、何回かにわたって楽しい時間を視聴者に届け続けることが大切です。
【心構え1】1回の配信で成果を求めようとしない
ひとつ目の心構えは、1回の配信で結果を出せると考えないことです。「ライブコマースをやれば商品が売れる」と考える人も多いですが、一度きりでは結果が出ないことがほとんどです。たいていの場合、長期的に考えて10〜20回以上の配信を続ける必要があります。
最初の数回は売上ではない目的を設定しましょう。
▼ライブコマースの目的の例
- 視聴者とのコミュニケーション:お礼・問いかけ・質問への回答ができているか
- 雰囲気づくり:コメントしやすい空気を出せているか
- コミュニティ形成:常連の視聴者が増えているか
ある程度かたちができたところで、1個の売上を目指すことをおすすめします。
また、ライブコマース単体では視聴者を集めることはできないため、TwitterやInstagramなどのSNSを利用する必要があります。「商品が20~30代女性向けなので、利用者の多いInstagramで定期的に情報を発信する」など、マーケター視点を持って視聴者の増加を目指しましょう。
【心構え2】視聴者にとって楽しい時間の提供を意識する
ライブコマースは、視聴者に楽しい時間を提供できるように意識することが重要です。視聴者が「つまらない」と感じると離脱され、次回以降も来訪してもらえなくなる恐れがあります。「はやく次回が観たい」「繰り返し観たい」と思わせるぐらいに引き込むことが肝心です。
たとえば、SNSで「○○のライブコマースはつまらなかった」と拡散された場合、来訪予定だった人にも「それなら観なくてもいいや」と影響を与えかねません。
ライブコマースを継続していくには、ネガティブな反応が拡がらないように、あくまでも視聴者視点に立ち続けることが基本の姿勢となります。配信中は次のことを積極的におこない、楽しい時間づくりを心がけましょう。
▼楽しい時間づくりの例
- 視聴者に手をふり、「来てくれてありがとうございます」とお礼を言う
- 視聴者になにを着てほしいかリクエストを募り、要望の多い服を着用する
一方的に商品の特徴を紹介するだけの配信にならないよう、丁寧にコミュニケーションをとることが大切です。
ライブコマースにおけるKPIの考え方

ライブコマースでKPIを設計する際は、下記の考え方を取り入れましょう。
- KPIを達成するための指標が重要
- ライブでやっている意味を考える
KPIを達成するためには、KPIにつながる指標にしっかりとした意味をもたせ、細かく分析する必要があります。
【考え方1】KPIを達成するための指標が重要
まずは複数回のライブコマースをとおして、「KPIを達成するための指標」を探ることが重要です。たとえば「〇万円の売上を上げる」などのKPIは、そこにつながる細かい指標を満たすことで実現できる可能性が高まります。
下記のように定量的なものばかりではなく、定性的な指標もみつけていきましょう。
定量的な指標の例 | 定性的な指標の例 |
---|---|
・コメント数 ・いいね(スタンプ)の数 ・配信中におこなうアンケートへの参加数 | ・ブランドの世界観 ・視聴者の質問や感想の内容 ・視聴後にとる行動(サイト訪問など) |
KPIを達成するために「視聴者と関係を築くうえでなにが重要か」「どのようなライブコマースをつくっていきたいか」などの視点で捉え、それらを分解することでさまざまな指標がみえてきます。
そのため、複数回の配信で検証してKPIと指標が正しくつながっているか判断し、自社の目指すライブコマースにとって適切な指標を見定めましょう。
【考え方2】ライブでやっている意味を考える
ライブコマースで紹介したい商品や企業のポジション、来訪してくれる顧客層によっても見るべき指標は変わります。ライブコマースを10~20回ほど繰り返しながら、目的を達成するためにどのような指標があるかを見極めていきましょう。
▼注目すべきポイント
- 業界や商材に応じた特有のKPI項目があるか
- 視聴者の態度変容が起きているか
- いいね数やコメントに具体的な質問があるか
- コメント中にどのようなワードが含まれているか(商品にまつわる特定のキーワード、コマーサーの名前が言及されているかなど)
SaaSのライブコマース配信サービスの場合、視聴者のコメントをダウンロードできるものが多いため、分析材料としてさまざまなかたちで活用できます。
▼コメントを分析指標として活用するときの例
- コマーサーが商品を説明した際のコメント
- 視聴者の盛り上がり方
- 特定のキーワードが入っているコメントの割合(商品名など)
このように、ライブコマースを実施した結果、視聴者とダイレクトエンゲージメント(一人ひとりと直接取れるエンゲージメント)がどうつくられているのかが重要です。
なお「KPI設計の方法をより詳しく知りたい」方は、こちらの記事をご一読ください。ライブコマースにおけるKPI設計の具体例を紹介しています。
まとめ:3つの視点でライブコマース配信を考えよう

ライブコマースを始める際は、実際にライブコマースを視聴して雰囲気を肌で感じ、そして商品を購入する体験をしたうえで、3つの視点を持つことが重要です。
▼ライブコマースで考えるべき3つの視点
- 視聴者視点:どのような配信であれば視聴者は楽しめるか
- コマーサー視点:どのように振る舞えば視聴者を楽しませられるか
- マーケター視点:どうすることでライブコマースに集客できるか
3つの視点で効果を検証しつつ、視聴者にとって楽しい配信を提供できるようなライブコマースをつくりあげていきましょう。
また、10~20回ほど配信をおこなうなかで、販売数や売上金額だけに囚われることなく多様に存在する定量的・定性的な指標を見極め、その指標に意味をもたせ追っていくことがなによりも大切です。
今回も最後までご覧いただきましてありがとうございます。本コラムでは、われわれが考える「ライブコマースを成功させるための考え方」についてお届けいたしました。
次回は「コマーサーという考え方、あり方」についてお届けいたします。ぜひご覧ください。
編著:Tigライブコマースラボ
Tigライブコマースラボとは パロニム・カスタマーサクセス部門および社内外の有識者を交え「ライブコマースのあり方」を研究しベストプラクティスを生み出すプロジェクト。 |